浮気を疑ったとき、多くの方が最初に考えるのは「自分で確かめる」ことです。相手のスマートフォンを見る、車にGPS機器を付ける、こっそり後をつける——気持ちとしては自然な行動です。しかし、これらの行為の一部は法律に触れる可能性があり、さらに調査を著しく不利にします。
この記事では、依頼前によく行われる行為を7つのケースに分け、関係する法律と実務上のリスクを整理します。なお、ある行為が違法かどうかは、目的・方法・関係性・被害の程度など個別の事情によって判断が変わります。ここでは一般的な枠組みをお伝えしますので、具体的なご事情の判断については弁護士にご相談ください。
前提:「夫婦だから許される」は成り立たない
最初に押さえておきたい前提があります。配偶者や家族であることを理由に、これらの行為が当然に許されるわけではありません。
夫婦の間にもプライバシーはあり、法律の適用が一律に除外されるという仕組みにはなっていません。実際に、後述するストーカー行為等の規制等に関する法律は、配偶者や元配偶者による行為も対象になり得ます。「家族なのだから問題ない」という感覚と、法律上の評価は別のものだと考えてください。
ケース別に見る法律の線引き
1. 相手のスマートフォンを直接手に取って中を見る
置いてあった端末のロックを解除して画面を見る、という行為です。この場合、いわゆる不正アクセス禁止法(不正アクセス行為の禁止等に関する法律)は、ネットワークを通じたアクセスを規制する法律であるため、端末を直接操作するだけでは同法の対象になりにくいと整理されています。
ただし「刑事罰に問われにくい」ことは「問題がない」という意味ではありません。プライバシー侵害として民事上の責任を問われる可能性は残ります。また実務上は、次に述べる発覚リスクの方が深刻です。
2. IDとパスワードを使い、別の端末からログインして見る
相手のメール、SNS、クラウドサービスに、自分のスマートフォンやパソコンからログインして中身を確認する行為です。これは1とは性質が大きく異なります。
他人の識別符号(IDやパスワード)を無断で入力し、ネットワークを通じてサービスを利用する行為は、不正アクセス禁止法に違反する可能性があります。相手が家族であっても、無断であれば同様です。「パスワードを知っていた」ことは、許可を得ていたことにはなりません。
3. 監視アプリ・追跡アプリを相手の端末に入れる
位置情報を送信するアプリや、メッセージの内容を転送するアプリを、相手に知らせずインストールする行為です。
この行為は、不正指令電磁的記録に関する罪(いわゆるウイルス罪)に該当する可能性が指摘されています。利用者の意図に反する動作をさせるプログラムを、無断で他人の端末で動作させることになるためです。あわせて、取得した情報の内容によっては通信の秘密の問題も生じます。
この種のアプリは検索すると多数見つかり、広告では手軽な手段として紹介されていることがあります。しかし宣伝されているからといって、使用が適法とは限りません。
4. 車や持ち物にGPS機器を取り付ける
ここは近年、法律が明確に変わった部分です。2021年のストーカー行為等の規制等に関する法律の改正により、相手の承諾を得ずにGPS機器等を用いて位置情報を取得する行為、および機器を取り付ける行為が、規制の対象に加えられました。
この法律は配偶者や元配偶者による行為も対象になり得ます。「自分の名義の車だから」という主張も、常に通るとは限りません。相手が日常的に使用している車両であれば、位置情報の取得は相手の行動を把握する行為だと評価される余地があります。
さらに、取り付けの過程で他人の敷地に入れば住居侵入、車体を傷つければ器物損壊といった別の問題も生じ得ます。浮気調査に関して自力で行われる行為のうち、法的リスクが最も分かりやすく高いのがこのケースです。
5. 相手の部屋や車内に録音機・カメラを設置する
自宅の共用スペースに自分で機器を置く場合と、相手が単独で使用している空間や第三者の住居に設置する場合とで、評価は大きく変わります。
後者は、設置のために立ち入ること自体が住居侵入に該当する可能性があり、撮影の内容によってはさらに別の罪に問われる可能性もあります。相手の交際相手の自宅など、第三者の住居やその周辺に及ぶ行為は避けてください。
6. 自分で尾行する
公道で人の後を歩くこと自体を、直ちに違法とすることは難しい面があります。しかし、つきまといが反復すればストーカー規制法上の問題となる可能性があり、相手の交際相手に対して行った場合はより明確にリスクが高まります。
加えて実務的な問題として、面識のある人物による尾行は、ほぼ確実に気づかれます。相手はあなたの顔・服装・車を知っています。距離を取れば見失い、近づけば発覚します。これは技術以前の構造的な問題です。
7. 通話を録音する
自分が当事者として参加している通話や会話を録音する行為は、比較的問題が生じにくいと整理されています。一方、自分が加わっていない他人同士の会話を、機器を仕掛けて録音する行為は評価が変わります。「自分が入っている会話かどうか」が、ひとつの分かれ目になります。
違法に集めた証拠は、話し合いや手続きで使えるのか
「多少グレーでも、証拠として使えるなら」と考える方もいらっしゃいます。ここは慎重に考える必要があります。
民事の手続きにおいて、違法に収集された資料が常に一切考慮されないというわけではありませんが、収集方法の違法性の程度によっては、資料としての扱いが認められないことがあります。さらに深刻なのは立場の逆転です。あなたが違法な手段を用いていた場合、その事実自体が相手側から追及される材料になり、本来は不利な立場にあった相手に反撃の余地を与えてしまいます。
浮気の事実を明らかにしたかったのに、手段の違法性が争点にすり替わる。これは実際に起こり得る展開です。
法律以前に、発覚が調査を壊す
探偵の立場から最も強くお伝えしたいのは、この点です。自力での確認が相手に気づかれた瞬間、その後の調査は何倍も難しくなります。
- 連絡手段を変える。アプリを削除し、別のアカウントに移す
- 会う頻度と場所を変える。時間帯を不規則にする
- 尾行を警戒した動き方をするようになる
- 証拠になりそうなものを処分する
警戒された状態からの調査は、必要な時間が伸びます。調査費用は時間に比例するため、結果として費用も増えます。費用の考え方については調査料金のページで説明しています。
「証拠を掴めなかった」というご相談の中には、もともと取れたはずの証拠が、自力での確認によって取りにくくなっていたケースが少なくありません。
では、依頼前に何ならしておけるのか
やってはいけないことばかりでは、待つしかないように思えるかもしれません。実際には、相手に触れず、自分の記憶と手元の情報を整理するだけでも、調査の精度は大きく上がります。
- 時系列のメモをつける:帰宅時間、外出した日、説明として使われた理由。日付とともに記録します。特別な機器は要りません。
- 曜日や時間帯の偏りを探す:「特定の曜日だけ遅い」といった規則性は、調査日を絞り込むうえで最も価値のある情報です。
- 自分が正当に見られる範囲の情報を確認する:自分名義の家計の記録など、あなたが本来アクセスできる情報の変化を確認します。
- 普段どおりに振る舞う:問い詰めない、態度を変えない。これが最も効果があり、最も難しいことです。
これらは相手の権利を侵害せずにできることであり、調査の設計に直接役立ちます。
なお当社は、特許を取得した独自開発のIPカメラを用いたリモート調査を行っています。適法な範囲で設置・運用する方法についてもご相談を承ります。ご自身で機器を用意される前に、一度ご相談いただくことをおすすめします。
当社は埼玉県三郷市を拠点に、八潮市・吉川市・草加市・越谷市などの埼玉県東部と、東京都葛飾区・足立区を中心に調査を行っています。対応している地域は対応エリアのページにまとめていますので、ご相談の前にご確認ください。遠方の場合も、出張料金という名目の費用はいただいておらず、かかるのは実費のみです。
まとめ
整理すると、リスクが特に高いのは次の3つです。
- GPS機器の無断取り付けと位置情報の取得(ストーカー規制法の対象に明記されています)
- IDとパスワードによる無断ログイン(不正アクセス禁止法の問題となり得ます)
- 監視アプリの無断インストール(不正指令電磁的記録に関する罪の問題となり得ます)
いずれも「配偶者だから」という理由で当然に許されるものではありません。そして法的なリスクを避けられたとしても、発覚によって調査そのものが難しくなるという実害が残ります。
疑いを抱えたまま何もしないでいるのは、つらい時間です。ただ、その一歩を自力で踏み出す前に、どこまでが可能でどこからが危険なのかを確認していただきたいと考えています。ご相談は無料で、24時間365日受け付けています。匿名でも構いません。浮気調査についてのページもあわせてご覧ください。ご相談はお問い合わせから承ります。
※ この記事は一般的な法律の枠組みを説明したものであり、個別の事案についての法的助言ではありません。具体的なご事情については弁護士にご相談ください。
